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「話すことはあるはずなのに、いざ撮ろうとすると何を話せばいいか分からなくなる」——YouTubeを始めた方から、この相談をよく受けます。台本を書こうとして原稿用紙のように書き込み、読み上げるだけの動画になってしまった、という失敗もよく聞きます。このコラムでは、私たちが自社チャンネルで177本を出す中で落ち着いた続けられる台本の型と、ネタが尽きない探し方を整理します。
書き込みすぎた台本は、かえって伝わりません
台本というと、話す内容を全部文章にするものだと思われがちです。しかし全文を書くと、撮影のときに読み上げてしまい、話し方が硬くなります。
視聴者が動画を見る理由のひとつは、書かれた文章では伝わらない話し手の温度を感じられることです。言い淀みや、考えながら話す間があるほうが、専門家として実際に向き合っている感じが伝わります。読み上げた原稿は、その要素をすべて消してしまいます。
もうひとつの問題は、時間です。全文の台本を毎回書いていると、1本あたりの準備が重くなり、続きません。続けられない台本は、どれだけ完成度が高くても意味がないという前提で考えたほうが現実的です。
4つの箱に分けて、順番だけ決めます
私たちが落ち着いたのは、全文を書かず、話す順番だけを4つの箱で決めておく形です。1本あたり5分ほどで用意できます。
1. 誰の何に答えるか——「苔が茶色くなったときにどうするか」のように、答える相手と困りごとを1文で書きます。ここがぶれると動画全体が散らかります
2. 結論を先に——冒頭で答えを言ってしまいます。「先に結論から言うと、水のやりすぎが原因です」のように、最初の10秒で示します
3. 理由と具体——なぜそうなるのか、実際にどう見分けるのかを話します。ここがいちばん長くなる部分で、現物を見せながら話せると強くなります
4. 次にすること——見た人が今日から何をすればよいかを、1つだけ伝えます。複数挙げると行動につながりません
書くのはこの4行だけです。中身は普段説明していることなので、順番さえ決まっていれば話せます。台本は原稿ではなく、道しるべだと考えてください。
書いた4行は、撮影のときに手元へ置いておきます。カメラの下に紙を置く、スマホの横にメモを表示しておく、どちらでも構いません。視線が泳ぐのを避けたいなら、箇条書きを大きな文字で1枚に印刷しておくと見やすくなります。全文を書いていないので、視線を落とす回数は数回で済みます。
冒頭で結論を出すのは、途中で離れられるからです
4つの箱で唯一こだわっているのが、2番目の「結論を先に」です。順を追って説明してから結論を言う話し方は、対面では成立しますが、動画では途中で離脱されます。
視聴者は、この動画が自分の疑問に答えてくれるかどうかを、最初の数秒で判断しています。前置きや自己紹介から入ると、答えにたどり着く前に閉じられます。結論を先に出しておけば、そのあとの理由を聞く価値があるかどうかを視聴者自身が判断できます。
同じ理由で、冒頭に長いオープニング映像は入れないほうが無難です。凝った作りにするほど、答えまでの距離が遠くなります。
チャンネル名や自己紹介を先に言いたくなりますが、それは動画の最後で構いません。最後まで見た人にだけ届けばよい情報だからです。冒頭の数秒は、視聴者が「自分に関係あるか」を判断する時間として明け渡しておくほうが、結果的に最後まで見てもらえます。
ネタは、探すのではなく拾い集めます
台本の型が決まっても、話題そのものが浮かばなければ止まります。ただ、ネタは考え出すものではなく、日々の仕事の中から拾い集めるものです。私たちが実際に使っている拾い方は3つです。
お客様から実際に聞かれた質問——1回聞かれた質問は、他の人も同じように疑問に思っています。聞かれたその場でメモに残しておきます
自分が失敗したこと・直したこと——うまくいった話より、失敗の原因と対処のほうが必要とされます。専門家が失敗を語ることは信頼を損ねません
季節や時期で毎年発生すること——同じ時期に同じ相談が来るなら、その手前で動画にしておくと毎年見られ続けます
3つとも、机の前で考えても出てきません。現場で仕事をしている時間の中にしか落ちていないものです。だからこそ、外部に頼んでも同じものは作れません。
大切なのは、思いついたときに書き留める場所を1か所に決めておくことです。撮影のときに探し始めると、そこで止まります。メモアプリでも紙でも構いませんが、場所を分散させないでください。
ネタが尽きたと感じたら、粒度を下げます
拾い集めていても、「もう話すことがない」と感じる時期は来ます。その多くは話題が尽きたのではなく、1本に求める大きさが上がりすぎている状態です。
「苔の育て方」は大きすぎて、何度も撮れません。しかし「水やりの頻度」「置き場所の選び方」「茶色くなったときの見分け方」と分けていけば、同じ分野から何本も出てきます。大きな話題を、答えられる最小の質問まで割るのが、続けるコツです。
判断に迷ったら、その動画のタイトルを先に書いてみてください。タイトルが「〇〇について」としか書けないなら、まだ大きすぎます。「〇〇のとき、どうするか」まで具体化できたら、1本として成立します。
177本を出して分かったこと
私たちが運用している西予苔園のYouTubeチャンネルは、2026年7月時点で登録者数1.41万人、動画177本になりました。詳しい経緯は西予苔園・苔庭ドクターの実績ページで公開しています。
この本数を出す中ではっきりしたのは、どの動画が伸びるかは事前には分からないということでした。手応えがあった動画が伸びず、何気なく撮った1本が長く見られ続ける、ということが何度も起きています。
だからこそ、1本ごとの完成度を上げることに時間をかけるより、打席に立つ回数を増やせる形にしておくほうが結果につながります。台本を軽くする理由もここにあります。準備が重いと本数が出せず、本数が出せないと当たりに出会えません。
関連して、撮り直しの基準も先に決めておくと楽になります。私たちは、言い間違いと言い淀みは撮り直さないことにしています。直すのは、事実を間違えたときと、話の順番が入れ替わって意味が通らなくなったときだけです。完璧に話そうとするほど撮影の時間が延び、次の1本が遠のきます。
動画づくり全体の考え方は中小企業のYouTube集客のコラムに、撮影の機材についてはスマホで始める撮影機材のコラムにまとめています。
まとめ——台本は軽くして、本数で当てにいきます
YouTubeの台本づくりは、書き込むほど良くなるものではありません。
全文を書きません——読み上げになると温度が消え、準備も重くなって続かなくなります
4つの箱で順番だけ決めます——誰の何に答えるか、結論、理由と具体、次にすることの4行です
結論を冒頭に置きます——視聴者は最初の数秒で、自分向けかどうかを判断しています
ネタは日々拾い集めます——聞かれた質問、失敗と対処、季節ごとの相談を、1か所にメモします
撮り直しの基準も決めておきます——言い間違いや言い淀みは直さず、事実の誤りと順番の乱れだけを撮り直します
話すことはあるのに動画の形にならない、という段階からのご相談も多くいただきます。整理から一緒に進めたい場合は、YouTube運用支援もご覧ください。
よくあるご質問
台本を書かずに、その場で話すのではだめでしょうか。
話し慣れている方なら問題ありません。ただし多くの場合、書かずに撮ると話が前後したり、言い忘れが出て撮り直しになります。おすすめは、全文を書くのではなく順番だけメモしておく形です。話す内容そのものは頭に入っているはずなので、必要なのは「どの順で話すか」の道しるべだけです。これなら5分で用意でき、撮り直しも減ります。
同じような内容の動画が続いてしまいます。問題ありませんか。
問題ありません。むしろ、ひとつの分野を掘り下げているチャンネルだと伝わります。視聴者は過去の動画をすべて見ているわけではないので、繰り返しに気づく人はごく一部です。ただし切り口は変えてください。同じ題材でも、初めての人向け、失敗例から、季節ごとの違い、と角度を変えれば別の動画として成立します。
話が長くなってしまい、動画が20分を超えます。
長さそのものより、1本に話題を詰め込みすぎていないかを疑ってください。1本1テーマに絞ると、自然に短くなります。長くなる原因の多くは、話しているうちに関連する話題へ広がってしまうことです。台本の段階で「今日は何に答える動画か」を1文で書いておくと、脱線に気づきやすくなります。分けた話題は次の動画にすればよく、本数の確保にもなります。
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