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リールを毎週出しているのに再生数が伸びない、フォロワーの数字だけがゆっくり増えて成果につながっている実感がない——という相談をよく受けます。同じように投稿を続けているのに、なぜ届く投稿と届かない投稿に差がつくのでしょうか。ねざしマーケティングが自社で運用しているBtoBアカウント「苔庭ドクター」は、60日間でリールの閲覧が12万回に達しました。このコラムでは、伸びない原因をまず切り分け、そのうえで12万回という結果を生んだ要素のうち、業種を問わず再現できる部分を整理します。
「伸びない」には、実は2つの状態があります
「リールが伸びない」と相談を受けたとき、最初に確認するのは、伸びていないのが「再生数」なのか「反応」なのかという点です。この2つは原因も直し方もまったく違います。
そもそも再生数が伸びない——数百回程度で止まり、フォロワー以外にほとんど配信されていない状態です。内容そのもの以前に、届ける相手の設定が広すぎることが原因になっているケースが多くあります
再生数はあるのに反応が伸びない——数千回再生されているのに、保存やコメント、プロフィールへの遷移が少ない状態です。届いてはいるものの、見た人の行動につながっていません
前者は「誰に配信するか」の設計、後者は「見た人に何をしてほしいか」の設計に原因があります。原因が違う投稿を同じ対策で直そうとすると、時間だけが過ぎていきます。まず自分のアカウントがどちらの状態かを確認してください。
苔庭ドクターの12万回は、内容より先に決めた「絞り込み」から始まっています
私たちが自社で運用しているInstagramアカウント「苔庭ドクター」は、造園業者に向けて苔庭が定着しない原因を発信するBtoBアカウントです。60日間の閲覧は128,673回に達し、そのうち86.6%はフォロワー以外に届いていました。苔の栽培・販売を手がける西予苔園が、同じ運営元として動かしています。
この結果を生んだのは、撮影や編集の技術より先に立てた仮説でした。もともと個人向けとBtoB向けの両方の話題を1つのアカウントで扱っていましたが、需要の性質がまったく違うため、造園業界向けに「苔庭が定着しない原因」という一点に絞ったアカウントを新しく立ち上げています。内容を工夫する前に、誰に向けて何を発信するアカウントかを決め直した、という順番です。
再現できる要素は、業種を問わず3つに整理できます
苔栽培という専門性そのものは真似できませんが、伸びた仕組みは分解すると3つの要素になり、業種が違っても当てはめられます。
1. 相手を「どんな会社の、どんな悩み」まで絞る
苔庭ドクターが発信しているのは、苔の一般的な育て方ではなく「苔庭を施工したのに数年後に定着しない」という、造園業者だけが抱える悩みです。誰にでも当てはまる話題ではなく、対象を絞るほど、興味がある人にだけ強く届く設計になります。フォロワーがまだ少ない段階でもこの絞り込みが効くのは、リールが「フォローしているか」ではなく「関心が近いか」を判断材料にして配信されるためです。
2. フォーマットをひとつに絞って検証する
苔庭ドクターは、フィード投稿やストーリーズと並行してではなく、最初からリールに絞って検証しています。60日間のコンテンツ別閲覧を見ると、リール動画12万回に対し、ストーリーズは5,496回、投稿(フィード)は4,177回でした。フォーマットを分散させず、ひとつに絞って何が伸びるかを確かめたことが、初期の段階で判断材料を早く得ることにつながっています。
3. 自分にしか出せない一次情報で答える
発信している内容は、造園業界の一般論ではなく、苔の栽培者としての知見です。苔がなぜ定着しないのかという原因を、育てている人間の立場から解説できるのは、栽培と販売を続けてきた蓄積があるからです。運用1か月・14投稿という早い段階で初回相談と案件受注が発生した背景には、内容そのものに他のアカウントが出しにくい情報が含まれていたことがあります。
逆に、伸び悩む投稿に共通して欠けているもの
ここまでの3つを裏返すと、伸び悩んでいるアカウントに共通しやすい状態が見えてきます。私たちが相談を受ける中でよく見かけるのは、次のようなケースです。
相手が広すぎます——「地域の人全員」「若い世代全員」のように対象が広いままだと、誰の関心にも強く一致せず、配信の優先度が上がりにくくなります
フォーマットが毎回変わります——リール・フィード・ストーリーズを気分で使い分けていると、どの投稿が伸びたのかを比較する材料が集まらず、改善の手がかりが得られません
内容が一般論にとどまっています——どこでも読める情報をなぞっているだけでは、その発信者でなければいけない理由が見た人に伝わりません
投稿の後にインサイトを見ていません——フォロワー以外にどれだけ届いたかを確認しないまま次の投稿に進むと、同じ原因を繰り返しやすくなります
4つとも、撮影や編集の腕前とは別の話です。直すべきは投稿の作り方より先に、投稿の前に決めておくべきことだと考えています。
「絞る前」と「絞った後」で何が変わるのか——麺や一心の例
業種は異なりますが、同じ構造の変化が確認できた例があります。麺や一心は、以前のInstagramを月替わりメニューや臨時休業といった営業情報の告知に使っていました。必要な情報は届いていましたが、リールは出していない状態でした。
10周年に向けて、店主の想いと10年間の物語をリールで届け、限定ラーメンの試作過程やカウントダウンを継続して発信しました。その結果、約1か月でフォロワーは約500人増え、10周年当日には100組以上が順番を待ち、過去最高売上を記録しています。
苔庭ドクターと業種はまったく異なりますが、変化した順番は同じです。内容を工夫する前に、誰に何を届けるかを決め、そのうえでリールという届きやすいフォーマットに絞っています。届く仕組みの違いはリールとフィード投稿の違いのコラムでも解説しています。
自分のアカウントで確認する5つのチェック
ここまでの内容を、実際に自分のアカウントに当てはめて確認できる手順に落とし込みます。
プロフィールを見て、「誰の何の悩みに答えるか」が一文で言えるか確認します——言えない場合は、内容ではなく対象の絞り込みから直します
直近10本のフォーマットを数えます——リール・フィード・ストーリーズが混在していたら、次の10本はリールだけに絞って比較材料をつくります
インサイトでフォロワー以外の比率を確認します——同じ期間の閲覧のうち、フォロワー以外が何%かを見ます。低いままなら、内容より先に対象の絞り込みを疑います
最初の2〜3秒で何を見せているかを確認します——結論やビフォーアフターが先に来ているか、説明から入っていないかを見直します
伸びた投稿と伸びなかった投稿を並べて、共通点を1つ言葉にします——感覚のままにせず、次の投稿の仮説として書き出します
この5つは、特別な機材や外部への依頼がなくても、今のアカウントを開けばすぐに確認できます。原因を特定してから直すほうが、闇雲に本数を増やすより早く結果につながります。
まとめ——伸びない原因は、内容より前の「絞り込み」にあります
リールが伸びない原因を、この記事の要点として整理します。
伸びない状態を2つに分けます——再生数が伸びないのか、反応が伸びないのかで、直す場所が変わります
苔庭ドクターの12万回は絞り込みから始まっています——相手を一点に絞り、フォーマットをリールに絞り、自分にしか出せない情報で答えたことが土台になっています
伸び悩む投稿は「絞り込み」が抜けていることが多くあります——対象の広さ、フォーマットの分散、一般論への終始、インサイト未確認が代表的な原因です
自分のアカウントは5つのチェックで確認できます——プロフィール、フォーマット、フォロワー以外の比率、冒頭数秒、投稿同士の比較から、次の一手を仮説にできます
自分のアカウントのどこから直すべきか整理したい場合は、SNS運用・伴走支援もご覧ください。
よくあるご質問
リールは何本くらい出せば、伸び始めるものですか。
本数より、同じ条件で何本出したかのほうが効きます。対象や切り口を毎回変えていると、10本出しても比較する材料が集まりません。まずは相手と切り口を固定したまま10本続けて、そのうえでインサイトを見比べてください。私たちが自社で運用した苔庭ドクターの場合は、運用1か月・14投稿という段階で初回相談と案件受注が発生しています。ただしこれは絞り込みが効いた結果で、本数そのものが理由ではありません。
フォロワーが少ないうちは、リールを出しても意味がないのでしょうか。
そんなことはありません。リールはフォローの有無より、見ている人の関心が近いかどうかで配信先が決まる仕組みです。実際、苔庭ドクターは60日間の閲覧128,673回のうち86.6%がフォロワー以外に届いています。フォロワーが少ない段階でも、対象を絞った内容であれば届きます。むしろフォロワーを増やしてから始めようとすると、いつまでも始められません。
撮影や編集を外注すれば、伸びるようになりますか。
編集の質だけでは変わりにくい部分です。伸びない原因の多くは、撮る前に決めておくこと——誰の何の悩みに答えるのか——にあります。ここが決まっていないまま編集だけ整えても、届く相手がぶれたままになります。外注を検討するなら、まず対象と切り口を自社で固めて、それを前提に依頼したほうが費用が生きます。順番としては、絞り込みが先、制作が後です。
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