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「SNSは若い人向け、BtoCのお店がやるもの」——愛媛の製造業の経営者からは、SNS発信についてこうした声をよく聞きます。BtoBの受注は紹介や既存取引が中心で、SNSで問い合わせが来る実感が湧かないという方も少なくありません。しかし専門知識をそのまま発信することで、フォロワー数がまだ少ない段階でも問い合わせにつながった実例があります。このコラムでは、その仕組みを「苔庭ドクター型」として整理し、愛媛の製造業がBtoB発信を始めるときの考え方を解説します。
愛媛の製造業がSNSを検討するときにぶつかる誤解
SNSというと、写真映えする商品や店舗の様子を発信するイメージが強く、部品加工や金属加工、機械製造などBtoBの製造業には向かないと思われがちです。実際、愛媛の製造業の多くは下請けや既存取引先からの紹介で仕事が回っており、新規の問い合わせをSNS経由で得るという発想自体があまり浸透していません。
一方で、発注担当者や現場の責任者も、個人としてはSNSで情報収集する時代になっています。取引先を探すとき、その会社が実際にどんな技術を持っているのか、どんな失敗を防げるのかを、ホームページの会社概要よりも先にSNSの投稿で確認することが増えてきました。ここで問われるのは「見栄えの良さ」ではなく「専門知識をどれだけ具体的に語れるか」です。
技術発信で問い合わせを生む「苔庭ドクター型」とは
苔庭ドクターは、苔の栽培・販売を手がける西予苔園が、造園業界向けに展開しているBtoBの発信です。苔庭を施工しても数年後にダメージが出る、原因が分からない——そうした造園業者の悩みに対して、栽培者としての専門知識をそのまま発信する形をとっています。ポイントは、フォロワー数の多さではなく「困っている相手に、困っている中身がそのまま伝わるか」を優先している点です。
製造業に置き換えると、これは「うちの加工なら、こういう不具合を防げます」「この材料選定を間違えると、こういう故障につながります」といった、現場でしか語れない失敗パターンと対処法をそのまま発信することにあたります。会社紹介や採用向けの雰囲気発信とは目的が異なり、狙う相手は「今まさにその技術を必要としている担当者」に絞られます。
実例——苔庭ドクターが運用1か月で案件受注につながった仕組み
愛媛県西予市の苔庭ドクターは、苔庭の失敗原因と対処法に絞ったリール動画をInstagramで発信しています。仕事をビジュアルで見せる造園業者が多いという媒体特性を踏まえ、リールに絞って検証したことで、運用1か月・14投稿という早い段階から初回相談と案件受注が発生しました。
60日間のインサイトでは、閲覧数128,673回のうち86.6%がフォロワー以外に届いており、リーチしたアカウントは52,709、プロフィールへのアクセスは3,998回、自己紹介リンクのタップは79回、住所のタップは73回でした。フォロワーがまだ少ない運用初期でも、必要としている相手にリール動画が届けば、案件受注まで動くことが分かります。詳しい実績データは苔庭ドクターの実績ページで公開しています。
愛媛の製造業がBtoB発信を始める3つのステップ
苔庭ドクターの型をそのまま製造業に当てはめる場合、次の3つを順番に整理すると始めやすくなります。
顧客の失敗パターンを洗い出す——「うちに相談が来るときは、たいていこういう問題を抱えている」という具体例を、営業や現場のメンバーから聞き取って言語化します
専門知識を惜しみなく発信する媒体を選ぶ——加工や施工の様子を映像で見せられるならInstagramのリール、文章で技術的な背景まで語りたいならホームページのコラムなど、伝えたい情報量に合う媒体を選びます
相談・現地診断への導線を用意する——発信を見た担当者が「うちの場合はどうなのか」と聞きたくなったとき、すぐに問い合わせられる窓口をプロフィールや投稿内に明示します
愛媛県内の製造業は、下請け構造の中で自社の技術力を対外的に語る機会が少ない会社も多いはずです。だからこそ、専門知識をそのまま発信するだけでも、同業他社との差が出やすい状態にあります。同じように「現場の専門知識を発信して指名や相談につなげる」考え方は、職人のSNS発信のコラムや愛媛の工務店の集客のコラムでも、業種を変えて整理しています。
発信できる技術と、出してはいけない情報を先に分けます
製造業の発信でいちばん多い不安が、技術情報の扱いです。「どこまで出していいか分からないから、何も出せない」という状態で止まってしまいます。
線を引く目安は、その情報が図面や数値そのものか、考え方かです。加工の条件や公差の具体値、取引先から預かった図面は当然出せません。一方で「この材質だとこういう反りが出やすい」「こういう形状は割れやすいので設計段階で相談してほしい」といった経験則は、発信しても支障のない範囲に収まることがほとんどです。
判断に迷う場合は、社内で「これは出す・出さない」を一度リスト化しておくと、担当者が毎回悩まずに済みます。取引先との守秘義務がある案件は、写真の写り込みも含めて対象外にしておくのが安全です。
見た人がすぐ動けない前提で、受け皿を用意します
BtoBの発信は、見た瞬間に問い合わせが来るものではありません。発注担当者がその投稿を見た時点で、いま困っているとは限らないからです。
半年後に案件が出たとき、思い出してもらえるかどうかが勝負になります。そのために要るのが、後から辿り着ける受け皿です。プロフィールに事業内容と対応範囲を明記し、ホームページに設備や加工実績を並べておく。この2つが揃っていれば、思い出した相手が確認して連絡できます。
逆に、発信だけ頑張って受け皿が空のままだと、興味を持たれても止まります。BtoBは検討期間が長いぶん、発信と受け皿の両方が要ります。
まとめ——専門知識を発信するだけでも、BtoBの問い合わせは動きます
愛媛の製造業がBtoBでSNS発信を検討するときは、フォロワー数を増やすことよりも、現場の専門知識をそのまま届けることを優先すると、問い合わせにつながりやすくなります。
SNSは向かないと思っている場合——発注担当者も個人としてSNSで情報収集する時代になっていることを踏まえます
何を発信すればいいか分からない場合——顧客の失敗パターンを洗い出し、専門知識をそのまま言語化することから始めます
技術情報の扱いが不安な場合——図面や数値そのものは出さず、経験則や考え方の範囲にとどめます
すぐに反応がなくても続ける場合——検討期間が長いぶん、思い出したときに辿り着ける受け皿を先に整えます
「うちの技術は発信するほどのものではない」と感じる方ほど、実は現場にしかない知識を持っていることが多いです。発信の設計から相談したい場合はSNS集客支援、社内で回す体制づくりはSNS内製化のコラムもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
製造業でもSNSでBtoBの問い合わせは本当に来ますか?
フォロワー数の多さではなく、必要としている相手に専門知識が届くかどうかが鍵になります。苔庭ドクターの事例では、運用1か月・14投稿という早い段階から初回相談と案件受注が発生しており、フォロワーがまだ少ない運用初期でも問い合わせにつながることが分かっています。ただし、これは造園業界向けの実例であり、製造業に当てはめる場合も同じ考え方が使えるという「型」として紹介しています。実際の効果は業種や発信内容によって変わるため、自社の技術のうち何が発信に向くかを見極めることが先になります。
どんな内容を発信すればいいか分かりません。
まずは「うちに相談が来るとき、たいていどんな問題を抱えているか」を、営業や現場のメンバーから聞き取ることから始めます。会社紹介や新商品の告知よりも、失敗パターンとその対処法をそのまま語るほうが、必要としている担当者に刺さりやすくなります。聞き取った内容をそのまま箇条書きにしておくと、投稿のたびにゼロから考えずに済みます。
発信を社内で続けられるか不安です。外部にずっと依頼することもできますか?
外部に任せ続けることもできますが、製造業の場合は最終的に社内で回せる形を目指すほうが向いています。現場の専門知識を言語化できるのは社内の人間だからです。現実的な進め方としては、はじめは投稿の型づくりや編集を外部に頼み、慣れてきたら社内へ移していく形になります。担当者を1人に固定せず、現場から話を聞ける人を確保しておくと、異動や退職があっても止まりません。
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